朱川湊人「スメラギの国」
スメラギの国 朱川 湊人 文藝春秋 2008-03 asin:4163267808 Amazonで詳しく見る |
猫と人間が戦争することに?アニマル・ホラー小説。
なんとも感想の書きにくい本で、グロテスクありアクションあり感動ありのエンターテインメントではあるのだが、作中の悲劇が悲惨すぎてラストと釣り合わないような気がする。猫はわんさか出るが、猫好きにはオススメしにくい内容だ。
文中で人間はそういうアンビバレンツな存在と書かれてはいるけれど、主人公があの事故をきっかけに性格が一変してしまうところに強く違和感を感じ、あまりストーリーに乗り切れなかった。だって、ノラ猫に餌付けするような人がさあ、あんな行動とるものかねえ…。いくら結婚で浮かれていたにしても、婚約者の変化(あれだけの変化!!)に気付かないヒロインもどうかと思う。個人的には、父親と亡き息子のエピソードは蛇足なのではと思うが、その辺は好みそれぞれかね。
p.s.ジンゴロウだけは味わいがあって好みだったわ。