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読書の記録

黒田生子「人工内耳とコミュニケーション」

人工内耳とコミュニケーション―装用後の日常と「私」の変容をめぐる対話人工内耳とコミュニケーション
黒田 生子

ミネルヴァ書房 2008-01
asin:4623050378

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 副題「装用後の日常と「私」の変容をめぐる対話」。
 言語聴覚士である著者が、人工内耳手術を受けた成人二人と、子供二人およびその家族から生活の質を聴取した貴重な記録。著者の大学院論文が一部もとになっていることもあり、格調高い印象の本である。
 健聴者である著者の視点から、丹念な人工内耳装用者との対話を経て【聞こえない暮らしが聞こえるようになってどのように変わったのか】、生活と感覚の拡がりが感動的なまでに生き生きと描写されている。
 人工内耳のメリットデメリットも書かれていて興味深い。聞こえることが100%よいこととはかぎらない、という配慮もあったように思う。