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読書の記録

城山三郎「そうか、もう君はいないのか」

そうか、もう君はいないのかそうか、もう君はいないのか
城山三郎

新潮社 2008-01-24
asin:4103108177

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 作家が語る妻との出会いと結婚生活、そして別れ。涙なしには読めないいのちのエッセイだ。
 私はふだん享楽的な書物しか読まないので著者の小説を読んだことがなかったが、このエッセイには心揺さぶられた。
 世にも可愛い少女が真面目な青年と偶然出会い、一旦は別れさせられるが…二人は結婚することになる。この経緯がなんともかわいらしく微笑ましい。昔話ならここでハッピーエンドなのだが、苦楽をともにした二人に別れが訪れる。
 著者の文章から、伴侶に対する愛情が読者にまでぽかぽか伝わってくるかのような素敵な本だ。ラスト、娘さんによるエッセイが切なくも感動的。
 私も宿六を大事にしなくては、と思う次第。全ての夫婦と恋人たちと、これから誰かと生きていくであろう人におすすめしたい。