東雅夫ほか・編「てのひら怪談2」
てのひら怪談(2) 加門 七海 福沢 徹三 東 雅夫 ポプラ社 2007-12 asin:4591100103 Amazonで詳しく見る |
実話・創作問わず募集されたビーケーワン怪談大賞から、百人一話ずつ収録した百物語。
今回、考えオチが多くてのりきれず。前回が良かったので期待していたクジラマクは都市伝説風で好みではなかった、残念。以下に自分の印象に残ったもののみ挙げる。
阿丸まり「水恋鳥」やわらかな方言がムード盛り上げ、オチもピリリと効いている。好み。
暮木椎哉「阿吽の衝突」タイトルで激しくネタバレだが、シュールで可愛い一品。
田辺青蛙「幽霊画の女」下品にならぬ加減が絶妙。ユーモラスで、やがて悲しい軽快な作品。
仲町六絵「せがきさん」怪奇好きならネタは割れてしまうが、グロテスクなイメージが目をひいた。
皿洗一「豆腐屋の女房」イメージが鮮烈。
湯菜崖時也「怪鳥」テンポがものすごく良い!
ヒモロギヒロシ「死霊の盆踊り」軽妙で面白かった。私的本書最大の収穫。幽霊の陰気に対し、生きた人間の陽気で対抗するというのは中国の古典怪談に類があるが、それを現代風にアレンジしたのなら凄腕だし、知らずに書いたのならば天才だ。他の作品も読んでみたい。