セバスチャン・フィツェック「ラジオ・キラー」
ラジオ・キラー セバスチャン・フィツェック 赤根洋子 柏書房 2007-12-21 asin:4760132651 Amazonで詳しく見る |
ラジオ局に人質をとり男が立てこもった。交渉人のイーラは最悪な状況の中、犯人と交渉にあたることになるが…サプライズに満ちたサスペンス。
デビュー作「治療島」は、ラストに無理があってあまり好きではない。だが不安あおる雰囲気に見るべきものがあったので、期待して本書を読んでみた。
結果から言えば思ったよりも楽しめた。本書はデビュー作よりサービス精神に富んでいるし、とりあえず次回作も読みたいと思わせてくれる出来。リアリティがないほどに気丈なヒロインが魅力となり、設定の無理くりや多少の違和感は、なし崩しにしてラストまでノンストップで突っ走る。ディーゼルなど小粋な脇役も、いい。
ちょっと気になるのは×相や母娘のモチーフが、一部前作とかぶることか。詳しく言うとネタバレてしまうからやめておくが、母娘の××くれが好きよね。
重厚な小説ではないけれど、最近のハリウッド映画みたいにハラハラその後スカッ、を読書に求めるならばおすすめ。
p.s.集英社文庫のR.L.スタイン「恐怖のヒッチハイカー」みたいなテイストだと感じた。サプライズを何より優先させる姿勢はディーヴァーっぽくもある。