太田忠司「奇談蒐集家」
奇談蒐集家 太田 忠司 東京創元社 2008-01 asin:4488012299 Amazonで詳しく見る |
奇談を求め人に語らせる謎の男。連作幻想ミステリー。
連載ものの宿命ではあるのだが、毎回説明が入るのがやや興ざめ。そして自分のような怪談狂には体験談部分が退屈で仕方なかった。半ばくらいでうんざりしてきたのだが、皆川博子的耽美世界を思わせる「冬薔薇の館」、ちょっといい話「金眼銀眼邪眼」、総括「すべては奇談のために」…要するにラスト三話…は面白く思った。
酔狂なオヤジが道楽で奇談を求めるといえば北村薫「語り女たち」が脳裏に浮かぶが、本書では理論的に謎解きをすることと、蒐集の意味が書かれオチがついていることなんかがアチラとは異なる。なのに、どちらの酔狂オヤジにもむかつかずにおれないのはなぜなんだろうか。