石田衣良「５年３組リョウタ組」

5年3組リョウタ組 石田 衣良 角川書店 2008-01 asin:4048738372 Amazonで詳しく見る

　成績はどんじりだけれど、明るく楽しいリョウタ先生のクラスは元気。学級崩壊、教員間のいじめ、少年犯罪に良太と同僚たちが取り組む三編を収録。

　これは楽しかったなあ。細かいこと言えば、よ（以下略）の中にもいじめはあるし、きれいごとばかりでは物事が進まないのもわかってる、あくまで架空の物語である。いじめとか問題はリアルなんだけどね、解決部分がどうしてもフィクション。だがそれでもこの小説には、大人が子供にまっすぐに向き合うことの素晴らしさが表れていて快い。
　あとがきで現代版「坊っちゃん」が念頭にあったと読んで納得。どちらかというと主人公が茶髪菜せいもあって、小学校版「GTO」みたいだけれど。
　ガッツでぶつかっていく熱血漢とクールなダンディのペアは川端裕人の保育士小説「みんな一緒にバギーに乗って」でも出てきたなあ。ベタだが、それがいい。私は染谷の方が好感が持てた。