朔立木「暗闇のヒミコと」
暗闇のヒミコと 朔 立木 光文社 2007-12-14 asin:4334925871 Amazonで詳しく見る |
老人ホームで看護師をしていた女が殺人容疑で起訴された。新聞記者はこの女を調べるうち、魅力を感じていき…法廷サスペンス。
新聞記者である主人公の人の良さ、真面目さが出ていて好感を持った。先輩記者や刑事、被告人などもステレオタイプではあるが血肉を持った存在として書き込まれている。
ただ、当時をふり返る形式ゆえに被告人がどうなるのかがそこここで追想の追記にて展開が暗示されてしまうのが残念。それがなければ、もっとハラハラドキドキに仕上がったと思うのだが。本書の目的はエンタメであると同時に裁判の現状を広く知らせることらしいので、地味でもよいのかもしれないが、早くから手の内を見せてしまうのは、もったいないと思った。
p.s.先輩のエピソードは重要で感動的な話ではあるが、少し唐突だなあ。
主人公の記者としての観察眼は良かった!
p.s.その2.容疑者の女性に男性が同情、といえば最近だと真梨幸子「深く深く、砂に埋めて」を思い出すが、あちらよりは本書の方がヒロインにリアリティがあるような気がする。