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読書の記録

岩井志麻子「派手な砂漠と地味な宮殿」

派手な砂漠と地味な宮殿派手な砂漠と地味な宮殿
岩井 志麻子

祥伝社 2007-12
asin:4396632932

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 カリスマBAを自称する水絵と、売れっ子漫画家のさゆりは虚飾にまみれたテレビ局で出会うが。女の友情と孤独の物語。

 水絵の故郷は岡山。岡山が著者の作品世界に深く息づいているのだなあと想像した。
四十代の二人の女性を交互に描いていくのだが、共感できるのは、なぜか水絵。しんねりむっつりのさゆりはどこか酷薄で、なじめない。見栄っぱりの水絵は子供っぽいのに対し、ふつうの女性なら大事件になりそうなことまで「犬におしっこひっかけられた」で済ますさゆりがとても恐ろしい。
 あっさりとしたラストには少々不満が残るのだけれど、中年女性の息遣いすら感じさせそうな、生臭さのある小説だった。

p.s.しかし…漫画家はいまやフルCGの人も少なくないので、こだわり画材にウン十万ってあまり想像がつかない。PC本体やお絵かきソフトってんならわかるけど。