2007本格ミステリベスト10、これがお気に入り
2006.11〜2007.10までに刊行された本の中から、さらに私が読めた範囲内でこれは今年の収穫だと思うものを、理由とともにあげてみる。
最近、本格とは何ぞやとの議論がかまびすしいが、難しいことはわかんないので魅力的な謎と、その謎を論理的に解く過程を中心に据えた小説を私なりの「本格推理小説」とする。それ以外は一般小説カテゴリで別にベスト作るわ。
■1位 三津田信三「首無の如き祟るもの」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070529
このシリーズ前作「凶鳥の如き(以下略)」の真相が実現不可能なバカミスだったので深くがっかりし、期待しないで読んだせいもあるかもしれないが、本書はかなり面白かった。ホラーテイストでありながらリアルとオカルトのはざまをたゆたうのも良。
2位■歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070115
はい、賛否両論の話題作ー。自分は(ラスト以外)むちゃくちゃ楽しかったのだが、さすがに本作を1位にする勇気はなかった。だから「首無(以下略)」は繰り上げ当選とも言える。没ネタ再利用かもしれないが、それをこれだけスリリングにまとめてしまうところに巧。
3位■近藤史恵「サクリファイス」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071005
本作の面白さはスポーツ小説の部分にあって、ミステリ部分はどうかなとも思うけれども、事件も起こるし主人公は謎を解いてるし、ぎりぎり本格に入れてしまった。小難しいことを考えずに楽しめばいいのかも。
4位■島田荘司「最後の一球」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20061212
なにそれ都合よすぎ、な出来事も不思議とありえそうに思えてしまう強引さがいつしか快感に。島田信者と呼ばば呼べ。
5位■島田荘司「リベルタスの寓話」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071107
一見関係ないような物語が収束する部分が実にベテランの味。正直良かった。
6位■加納朋子「モノレールねこ」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070105
さわやか日常の謎系。しみじみよいお話が詰まっているのであった。
7位■石持浅海「Rのつく月には気をつけよう」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071023
ちょっぴりオトナな青春物語だが、安楽椅子探偵モノとしても面白い。かわいらしい仕掛けがあって、後味絶品。
8位■近藤史恵「ふたつめの月」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070701
「賢者はベンチで思索する」に続くシリーズ二作目だが、説教くさくないヒロインの成長物語としての側面もそなえており、日常の謎系としても趣向が凝らされていて良かった。
9位■石持浅海「人柱は、ミイラと出会う」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20070722
ちょっと変わった日本の風習のあれこれが楽しいミステリー。これまた後味がいい。
10位■藤原伊織「名残り火 てのひらの闇」
http://d.hatena.ne.jp/pnu/20071103
急逝おしまれる著者の作だからというのではなく、マジで面白いサスペンスミステリーだった。ハードボイルドの火が、またひとつ消えたのかと思うと悲しい。
11位以降や今年のミステリーで人気があるが自分はちょっと…などのまとめはコミケ後に。