読書日記PNU屋

読書の記録

森見登美彦「有頂天家族」

有頂天家族有頂天家族
森見 登美彦

幻冬舎 2007-09-25
asin:4344013840

Amazonで詳しく見る


 京の町に住むあったか四兄弟と、ダメな師と妖艶な魔女の物語である。

 今まで森見作品のヒロインは、女性から見ると聖性に富みすぎたありえないほど善良清純清廉潔白マドンナタイプばかりでちと不満に思っていたのだが、ついに出た! 濃ゆい男性キャラにも負けない存在感を艶やかに放つ魔性のヒロインが。
 しかもその妖女、かつては歴代森見ヒロインのように楚々とした淑女だったというのだから、アンビリーバブルでブンダーバーである。どうだい諸君もこの妖女を見てみたくなったろう。
 彼女は「弁天」と呼ばれている。なに、傑作なのは何の社会的肩書きもない私が力一杯保証するから是非とも読んでくれたまえ。
 古都・京都に棲まう人と狸と天狗の一大叙事詩であるこの物語は、涙あり笑いあり、悲恋あり阿呆な恋あり、ショウケツきわめる魔物大戦に家族愛と読みどころたくさんのオモチロイ本だ。
 水木しげるの妖怪マンガや、高橋留美子うる星やつら」のようなまったりムードがスキなら直球でツボまちがいなし!