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読書の記録

藤原伊織「遊戯」

遊戯遊戯
藤原 伊織

講談社 2007-07
asin:4062142333

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 ネットから出会った男女が心通わせていく過程を瑞々しく描いた未完の連作と、読み切り短編を収録している。

 藤原伊織、この偉大な才能がこの世を去ったのは、今年の5月のことだった。なんということであろうか。心に傷を負い、孤独な本間とまっすぐなみのりは、まさにこれからではないか。二人をつけ狙う、謎の男の正体は、その動機は?全ての答えは彼岸に。
 未完の連作であるが読んで損はない。いや、このようなやや古風だが清々しく気持ちよいキャラクターに会えて、本当に良かったと思っている。単なる亡くなった作家への感傷で言っているのではなく、本当に小気味よくて面白いのだ。ただ続きが読めない事実が、未完であることがせつない。
 ラストの読み切りがこれまた悲しい話でせつなさ倍増であった。