高原英理「神野悪五郎只今退散仕る」
神野悪五郎只今退散仕る 高原 英理 毎日新聞社 2007-07 asin:4620107182 Amazonで詳しく見る |
中学生の紫都子は、妹の妙子とともに祖母の持つ家に招かれるが、ここには妖怪が出るのであった。キュートな妖怪物語。
「稲生物怪録」をベースに、その世界観を現代風にアレンジしていて好もしい。
水木しげるの妖怪マンガをお供にして育ち、和洋を問わず怪異を描いた物語に浸るのが趣味な自分には、たいへん好感の持てる物語であった。なにしろ妖怪の描写が非常にラブリーなのだ。妖怪好きなら頬がゆるんでしまうこと請け合いである。
やや児童向けというのか、別名義でものされたホラー作品「闇の司」ほどの凄惨な迫力こそはないが、後味もよく可愛らしい一品であった。