貫井徳郎「夜想」
夜想 貫井 徳郎 文藝春秋 2007-05 asin:4163259902 Amazonで詳しく見る |
妻子を亡くし悲しみに沈む男が見いだした希望とは。
や、なんだか普通の小説という印象。仕掛けを取り出してミステリーだと言えないこともないけど、このテ(注)が使い古された今となっては新味はないな。××コサスペンスっぽくもあるけれど、宗教団体(主人公は宗教じゃない!と言い張っているが)が巨大になっていく過程で噴出するモロモロに筆をさきすぎて勢いはない。ストレスフルな展開はこの著者らしい苦虫の味か。
しかし、出てくる能力がめっちゃサイコメトリーなのに、ピーター・ハーコスなどにふれないのはちょっと疑問。
いい話ではあるんだけれど、新人でもなしそれだけでは満足できぬ欲深い読者であった。