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読書の記録

山田悠介「オール」

オールオール
山田 悠介

角川書店 2007-06
asin:4048737813

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 アパレル業界から脱落した青年が、ふと見つけたバイト募集の貼り紙。その仕事はなんでも屋で…ドタバタ物語。

 この著者の本は読んでがっかりする結末が多いのだけれど、以前読んだホラー短編集「ブレーキ」に載っていた「ビンゴ」や「サッカー」の残虐さが忘れられなくて、新刊が出るとついつい読んでしまう。それで毎度毎度こりずに脱力しているというわけである。
 さて、本書は便利屋稼業が題材となった、割と普通のありふれた話である。おとなしいとも言える展開で、もっとシリアスならシリアス、コメディならコメディに描写やトーンを徹底した方が面白くなったのではないかと思う。
 展開に意外性がなく、この著者の小説にはしばしばあるずっこけ感や180゜回転して或る意味面白い、というようなことは今回見られず、たいへん普通な印象の本であった(それでも三点リーダ…の著しい多用など、普通でないところもあるが)。