高野和明「6時間後に君は死ぬ」
6時間後に君は死ぬ 高野 和明 講談社 2007-05-11 asin:4062140721 Amazonで詳しく見る |
人に起こる非日常的な出来事が、ビジョンとして見える青年・刑史。彼は未来に待ち受ける不幸を回避することが出来るのか?タイムリミット型のサスペンス連作集。
面白い。刑史の気弱そうに見えて芯の強いキャラもいいし、緊迫したストーリーもいい。だが、それなのにどこか物足りなさを感じる作品でもある。それは詰めの甘さであるとか、小綺麗にまとまりすぎているせいかもしれない。以下簡単に感想とツッコミを。
表題作。名前の元ネタ、エドガー・ケイシーはかつて超能力者という触れ込みで名を馳せた人物だね。今時の読者は知っているかなあ?しかし25にもなろうという大人が自分を「女の子」呼ばわりするとはイタい。
「時の魔法使い」ん、それでミクちゃんと刑史はどういう仲なの?
「恋をしてはいけない日」本書中いちばんのーたりんなヒロインでイライラするが、展開はサプライズがあり好みだ。しかし、告げるべきは人柄ではなく信号の色だと思うぞ。
「ドールハウスのダンサー」女の友情はかくも儚く脆し。幸せの基準は人それぞれ。
「3時間後に僕は死ぬ」あの人、再び。いやーこの粘り強さに感服する。しかし人の出入りが多い職場だと選んで、彼が挙式で新郎として現れたらどうするつもりだったのか。第一話であんな目に遭っている二人がある人の職業が×××だからと容疑者から外すのは解せないな。
「エピローグ 未来の日記帳」いつの間にか退場してしまったミクちゃんの日記ではない。読者へのエールみたいな終わり方。きれいすぎて、ちょっと不満だ。