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読書の記録

奥田英朗「家日和」

家日和家日和
奥田 英朗

集英社 2007-04
asin:4087748529

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 日常にふとした楽しみを見いだす人々を描いた短編集。

サニーデイ」ネットオークションに張り合いを見つけた主婦。あああ、これはいかんですねー。そういうのってこだわる人はこだわってるから。その分、ラストは利いているけれど。

「ここが青山」いきなり主夫業につくことになったら?!可愛くて微笑ましい一品。そう、世間の決めつけ視線は厳しいものなのである。しかし[セイザン]は知っていたが[ジンカン]とは知らなんだ。ずっと[ニンゲン]だと思っており申した。勉強になりますなあ。

「家においでよ」妻が出て行った時、夫は…。これはわかるなあ。夫婦は違う人間同士の共同体だから、互いに妥協や諦めがつきまとうものだし。うきうきっぷりがポップ。

「グレープフルーツ・モンスター」内職する主婦が見つけた密かな悦び。あ、これはちょっと私の趣味ではないわ。ここまでは明るくさらりとした軽快な作風で楽しかったのだけど、この作品は正直気色悪いし気持ち悪い。ダンナが可哀想ですなあ。

「夫とカーテン」妻と夫との不思議なバイオリズムの一致。少々オカルティックでこれまた好みではないけど、あっけらかんとしたダンナのキャラも手伝って、「グレープフルーツ・モンスター」の気持ち悪さをなんとか払拭できた感じ。

「妻と玄米御飯」妻がロハスにはまった時、夫は…。うーん、私だったら柴犬がよいなあ!ロハスの心は地産地消でしょ。だったら日本犬でしょ。双子ちゃんのキャラが可愛くて、でかしたっ!と思ったのに、このラストとは。夫婦の間には、他人からは伺い知れない何かがあるってことかしら。何げに冒頭と似たようなオチなのが不満。