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読書の記録

荒俣宏「帝都幻談」上・下

帝都幻談 上 (1)帝都幻談 上
荒俣 宏

文藝春秋 2007-03
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帝都幻談 下 (3)帝都幻談 下
荒俣 宏

文藝春秋 2007-03
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 魔人加藤が江戸を舞台に大暴れ!稲生物怪録にまつわる秘宝とは?江戸が揺れる妖怪大戦。

 実は「帝都物語」は藤原カムイ帝都物語―Babylon Tokyo
帝都物語―Babylon Tokyo
高橋葉介帝都物語―荒俣宏「帝都物語」よりの手による漫画版しか読んだことがない私だが、いきなり本書を読んでしまった。加藤が魔人だということさえ飲み込めていれば楽しめる。歴史上の人物も続々登場するので、日本史好きにはオススメであろう。過去の因縁みたいな話も出てくるので、シリーズ小説を既読の方がより妙味を味わえるのではないか。
 個人的な好みを言えば、上巻のラストの緊迫感が好みであった。下巻ではだんだん加藤が人間くささを見せてきたために、迫力を欠いたきらいがある。鬼女の章などは、加藤が哀れに感じられたほどだ。しかし単純な善悪、白黒で割り切れる問題ではなく、加藤の側にも充分に言い分があるので、ただ憎らしくふてぶてしい人物にするよりも、計算の上で彼に人間味を持たせたのかもしれない。呪術的な蘊蓄や、章の扉ごとに配された挿画も見所であった。