バリー・ユアグロー「たちの悪い話 NASTY book」
たちの悪い話 バリー・ユアグロー 柴田 元幸 新潮社 2007-02-24 asin:4105334042 Amazonで詳しく見る |
解説の言葉を借りるなら、「人生みたいに」ままならぬ不条理な世界を綴った掌編集。子供も対象とした本らしいのだが、皮肉にあふれてかなりブラックである。お子様に与える際は自己責任で。
七つの大罪に呼応した結末らしき話も散見されるが、因果応報すらもないシュールな話が多い。突飛な設定に隠して、いくら善良に生きていても災厄に襲われる現実を皮肉っているのだろう。不条理さではグリムに似ているが、描写が淡々としてあちらほどのトラウマ製造力はないと思われる。コミカルで残酷な話が多めかな。印象に残ったものだけ言及。
「パンダ」藤子A「魔太郎がくる!! (1)」みたいだと言うとネタバレであろうか。
「奴隷」無知は罪。
「狼男の庭」自己矛盾に気付かぬところがモンスターたるゆえんなんだろうな。
「孤児」わたなべまさこの某名作マンガのようでもある。
「スケボー」冴えざえとしたイメージが美しい。
「ピザ」怪物もの。復讐譚としても読める。
「くすぐる」イメージがナイス。
「昆虫店員」須賀原洋行のマンガみたいだ。
「星々」寂しくも美しい。