読書日記PNU屋

読書の記録

山本弘「超能力番組を10倍楽しむ本」

超能力番組を10倍楽しむ本超能力番組を10倍楽しむ本
山本 弘

楽工社 2007-03
asin:4903063089

Amazonで詳しく見る


信じやすい純情な中学生・勇馬(UMA!)としっかりものの夕帆(UFO?)が、作家で物知りなパパにきく超能力番組を楽しむ方法。
やあやあ、テレビで超能力番組見るのが好きな人には、必読だねっ!
実は私、テレビのバラエティ番組が好きではない。とくに超能力モノは、チャンネル変えるかテレビの電源切るくらいには嫌いだ。超能力番組に的を絞ってテレビ番組のウソを暴く本書は、そんな私が快哉を叫びたくなる一冊であった。
アンチには笑いの止まらない本である。読み進むにつれ、テレビ業界のモラルの低さ、そしてそれ同様に罪深い、放映を即事実と無批判に信じ込む一部の(と思いたい)視聴者の愚かさにため息が出てくるのであるが。
本書に登場する事実の伝道師、ジェイムズ・ランディほどではないとはいえ、私も超能力に少なからず恨みがある。まさに本書のしょっぱなで明かされる、
「超能力で雲が消せる?」
は親子トラブルを呼んだ番組であった。迷信深い私の母は、自称・超能力者が雲を消すシーンを真剣に見入っていた。私が
「バッカみたい、超能力あるわけないじゃん、雲消えるなんて風のせいで偶然でしょ」
と言ったところ、母は
「うるさい!集中してるのだから黙れ!」
と私を怒鳴りつけたのであった。その後、騙されやすい母は自称・霊能力者にのめりこみ、人生の重要な決断を全てそいつに委ねるようになり、私をもそいつの支配下に置こうとしてきたので私は父に相談した。ところが父もいつの間にかそいつの信者に成り下がっていたので、私は両親を棄て、逃げた。いまだ両親との間に和解は成立していない。
 テレビサイドとしては、バラエティは視聴率さえとれればウソがあっても良いというスタンスらしいが、それなら番組の最初か最後に[この番組はフィクションです]と明言すべきだ。そこを曖昧にしたヤラセ番組が、私の両親のように、理性的な判断のつかない人をオカルト主義に走らせ、親子関係を引き裂くこともあるなど想像もしていないだろう、制作側は。
 願わくは、本書が広く小学校の副読本として採用され、幼き人らに科学思考を教えてあげてほしいものである。
巻末には超能力のウソを暴く類書リストが付いていて、至れり尽くせりのつくりだ。


 おすすめ書評はこちら。
http://funuke01.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/102007_9b8f.html