五條瑛「赤い羊は肉を喰う」
赤い羊は肉を喰う 五條 瑛 幻冬舎 2007-01 asin:4344012828 Amazonで詳しく見る |
内田調査室でリサーチ業に携わる偲は、住み慣れた町に異様な事態が進行していることを感じ取るが。
行われていることは同著者のアレとか、先年出た戸梶圭太のアレ!と同じなのだが、偲や高、太郎などの魅力的なキャラクターたちが雰囲気盛り上げてくれた。とくに主人公の偲がいい。にくめない人物である。
ただ一つ不満なのは、これは読者によって見解の分かれるところかもしれないが、あれだけの装置でああいう結果が導き出されることを信じられなかったところだ。周到な仕掛けの割に、ラストが弱く感じられてしまったのだ。それは私が羊やペンギン側の人間であって、エスターのような天才ではないせいかもしれないが。