桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
赤朽葉家の伝説 桜庭 一樹 東京創元社 2006-12-28 asin:4488023932 Amazonで詳しく見る |
山の民の子であった万葉は、里一番の金持ち赤朽葉家に嫁ぐが。赤朽葉一族の女伝説。
ん、面白かった。万葉がとにかく素直ないい子で、その上千里眼なんて神通力まで持ってしまってるんだから、彼女の一生から目が離せなくてほんと痺れた。
万葉があまりに魅力的だったので(タツさんもいい味出しているし、真砂も別な意味で強烈な印象を残すが)、彼女の娘である猛女・毛毬ですらかすんでしまったほどであった。
所々しのびこませたホラーテイストのグロテスク趣味、千里眼で変えられぬ未来をただ知るだけの悲しみが味わいを深めている。
孫の瞳子は凡人であるが、過ぎ去った古き良き時代を記憶し、おぼつかぬ足取りながら確かに一歩一歩、未来に向かって踏み出そうとしている。そんな素敵な結びであった。
p.s.小林恭二「ゼウスガーデン衰亡史」のようなめくるめく架空地域史ダイジェストが好きな人に強力にオススメ。