佐々木譲「警察庁から来た男」
警察庁から来た男 佐々木 譲 角川春樹事務所 2006-12 asin:4758410755 Amazonで詳しく見る |
スキャンダルに揺れた道警は、組織浄化を図っているはずだったが。今またキャリア監察官が隠された腐敗を暴く。
いや、「制服捜査」で現実にあった事件がそのまんまモチーフにされたことに憤慨し、もう読まない宣言をしていたのだが。ずっと前の図書館予約の順番が来たので来る本はこばまず読んでみた(ちなみに著者のWEB日記では「制服捜査」の件について〔過去のことだと思いヒントにした〕という記述がある)。
まずはほめてみよう。読了して思ったのが、あたたかな作品だということ。悪人はともかく、監察官と彼を補佐する刑事たちには仲間への思いやりと正義ゆえの怒りがある。そんな読後感のよい話に仕上がっていると思う。
「うたう警官」の続編らしく、そちらを未読で読むとキャラクターがつかみにくかった。くり返し過去をふりかえるのでいきなり本書から読んでもあらすじはわかるのだけど。
頑張っていいとこさがししてみたが、謎と真相がコレではあっけない気がする。ひねくれ者の私には、ちょっと展開がシンプルすぎるのよねぇ。というわけで、今度こそアデューです。