読書日記PNU屋

読書の記録

馳星周「ブルー・ローズ」上・下

元刑事だが多額の借金を返済するため探偵の真似事をする男。
元上司の娘が行方不明になり、彼に捜索依頼が出されるが。


ハードボイルドなんだけど濃厚にオジサン趣味でついていき難し。
主婦達がね〜、いくら暇だからと言って揃ってそんなことになるのかねぇ。
何しろパソコン通信で知り合うのです。
今時パソコン通信。ネットと言ってほしいのだが。
スポーツ紙に連載されていたそうなので、ワザと死語を使ったんだろうか?


クライムノヴェルの1シーンを築いた「不夜城」シリーズでは
究極に賢い男を描いた著者だが、本書を始めとして近著
「楽園の眠り」や「トーキョー・バビロン」など愚かな男に
主人公像がシフトしてきた。
不夜城」シリーズとは全く違う境地を目指しておられるのだろうか。


本作は退屈な上巻が下巻に入ると一変し、暴力炸裂する。
人間の根っこにある暴力衝動を生々しく写し取るところはさすが馳ノワールだ。
しかし主人公の立てる計画が私のようなど素人から見ても穴だらけだったり、
恋に説得力を感じなかったりするのが難点か。



今までの馳作品と最も違うのはラスト。
いつもだったら…というようにはならない。そこが新機軸か。
だがこの路線は「不夜城」が好きだった私の好みではないようだ。


p.s.○薔薇様って…「マリア様がみてる」かと思ったわ。