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読書の記録

瀬尾まいこ「強運の持ち主」

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会社を辞めた吉田幸子はルイーズ吉田として占い稼業に
チャレンジすることに。占い連作事件簿。


ニベア
子供が求める占いとは。
かなり無理がある設定だけれどコミカルでテンポが良いので
すいすい読める。ただメインの事件より、一般相談者のお悩みと
占い師ルイーズのでっち上げ解答の方が面白かったが。
勘で適当な占いをしていて罪悪感に襲われたり人生が虚しく
なったりしないのか?と思ったが、ヒロインは自分の占い方が
いい加減だと自覚していても、占いとか運命は信じているのな。


「ファミリーセンター」
しつこい客に悩むルイーズ。
明るい話である。なんてない日々の重要さをさりげなく説いたり、
が良い感じ。


「おしまい予言」
占いブースにやって来た男の子。
ノンビリにはらはら成分と超常現象が加わって楽しい。
本書で一番楽しめた。


「強運の持ち主」
ルイーズ、助手を雇ってみたが…?
ラストにふさわしい、ちょっとドッキリで微笑ましいお話。



おお、私がこの著者の本を誉める日が来ようとは!
「卵の緒」はいい話過ぎて受け入れ難かったし、
「図書館の神様」ではヒロインの傲慢さにイライラし、
「優しい音楽」では何だか大事なことをはぐらかされた気になって、
不倫がやたら出て来るところも嫌いであった。



なんとなく、それでも流行りだし、と手にした本書が楽しかった
のは予想外だ。今まで既読の作品と違って本書には不倫が出て来ないし
、ヒロインが可愛らしい性格なことも好感度UPした。


私は母と断絶した原因の一端が占いなだけに占いが大っ嫌いで、
雑誌に載っていれば飛ばすしテレビに映ればチャンネル変えるし、
運命なんて信じてないし逆らうし、
占い師ったって他人に行動を指図されたくない。


たとえ悩みがあったって自分で決断するし
占い師に三千円も払うんだったらその金で酒呑んで美味いモノ食うわい!
と思う人間なのだが、それでも本書は面白かった。
あくまで創作としては。
第一話はちょっと…だったが、後に行くほどノッてくる軽快な
感じがある。私自身は占い師に金を遣う気は毛頭ないが、
こんな他人を幸せにしてくれる占い師ならば、存在を赦せる気がした。