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読書の記録

山本ひろし「君だけの物語」

君だけの物語
山本 ひろし著
小学館 (2006.8)
ISBN:4093876711
価格 : \1,680

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小説家になりたい男が夢をつかむまで。

350ページに種明かしがあるので
(これから読む人はけしてラストを先に見ないでね!)
ああそういうことなのか、と感じた。


壮大な仕掛けは正直すごいが、なんとも評価の定めにくい一冊である。
なぜならフィクションとして読んだ場合、どうも地味であるからだ。
〜ですます調が冗長さに拍車をかけているように思う。


しかし成功者の自伝はたいていこんな文体なんで、
意識して装っているのならば著者の技巧をほめるべきだろう。


一冊の私小説として読んだらまわりくどさを覚えるけれど、
本書には実用書としての意義がある。
すなわちサクセスストーリー兼小説家への道体験談としての意義が。


気になるのは創作された部分で、実際に受賞し小説家デビューした
と言っても、本人は山本×○なのだしもともとゼロからスタートの
応募者とはケタが違うから参考にならんのでは?という疑念もよぎる。


それでも、小説の基本は丁寧に説明されているので
ハウツー書として作家志望の人にはお役立ち。
「山本甲士」による解説も作り込まれている。


p.s.私は「心理捜査」のウンチク豊富な作風から正体は
と学会会長に違いない、だって同姓同名だし!と思い込み
ダンナに推論を得意気に語ったり、
自分の運営する読書感想ブログ(ココだ)にそれを書いて
しまったりしたのだが、本書の350ページでそれが的外れな推測
だったことを知った。
幸い遠慮がちな文章やらヒットがそれほど無いブログなせいもあって、
誰かからミスの指摘を受けないうちにこっそり直しておくことが
出来たが…弱気&ピコ手ばんざい。


私も小説をいっちょう書いてみようかなあ。
本書の暖かなエールに勇気をもらったしね…。