読書日記PNU屋

読書の記録

桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

Amazonで見る


美しすぎる少女が語る、恋にも似た友情と母の呪いの物語。


とんでもない美貌ゆえに苦悩させられる少女の来し方行く末に
釘付けとなった。また彼女がグレることもなく、美貌の親友と
共にすくすくと正しく育つのである。感動的。


異形と称されるほどの美貌でありながら彼女は自分のスタンスを
あくまで貫く。元々の素養に加え、お祖父様の教育・愛情が
よろしかったのだろう。


また舞台が閉鎖的でいて内部の人間関係の濃密な田舎町であることから、
絡み合う絆が自ずとスリルを生み出す。
小説ならではのトリックに起因するサプライズときたら!
この小説は、立派なミステリーでもある。


p.s.単行本表紙画はイメージにぴったりで素晴らしく、
雪国らしいおさえた色調も雰囲気に合っているのだが、
惜しむらくはスカート丈のみが間違っている。
イラストではどう見ても流行のひざ上だが、
本文中ではストーブであぶってふくらはぎをヤケドするの
だから、もっと長い優等生丈のはずなのだ。
そこだけが残念。