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読書の記録

小川洋子「ミーナの行進」

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叔母の家に預けられることになった「私」こと朋子。
そこには年の近いいとこと、ペットのポチ子がいたのだった。


何しろ預けられたのが、
女の子ならとりこになってしまいそうなお屋敷。
そして住んでいるのはドイツ人の大奥様にハーフの叔父様、
クォーターの美少女である。
またこの美少女が、凛としていて芯が強いけれど、病弱ではかなげな
感じなのだ。
何もかもが素敵に見えたお屋敷にも悲しみがひっそりと潜んで
いることを朋子は徐々に知るが、少女らしい柔軟さと優しさを持って、
朋子は現実を真っ直ぐ見つめていく。


そしてカラーの挿画…本作のために書き下ろされたとおぼしき
レトロでいて美しい寺田順三による挿し絵が、雰囲気を盛り上げている。


無粋な感想を言うとポチ子に関しては若干作りごとめいている…
乗ったら粘液で服はしめらないのか…
使役にはおよそ向きそうにないからポニーの方がよいのではないのか…
しかしお屋敷の非日常を極めつけのものにするためには、
ポチ子はああでなくてはならなかったのかもしれない。