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読書の記録

馳星周「走ろうぜ、マージ」

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バーニーズ・マウンテンドッグのマージは遺伝性疾患に苦しんでいた。
飼い主である作家はマージのために軽井沢に家を建てることを決意する。
愛犬ノンフィクション。


作家の犬日記といえば親バカものと相場は決まっているが、
本書はいきなり老犬となったマージに読者は出会う。
可愛い子犬時代は省略されている(どこかに子犬時代のエッセイもあるんだろうか?)。


彼女、マージに残された時間はとても少なく、その少ない時間をよりよく
過ごさせてあげたいという飼い主心が読者の胸を打つ。
なぜ軽井沢でなければならないのかが、田舎の住人である私にはピンと来ない
のだけど、その辺は何か大人の事情があるんでしょうな。


この著者のW杯観戦記「蹴球戦争」蹴球戦争(フットボール・ウォー)―馳星周的W杯観戦記
を読んで、その半分がフットボールのことではなく食事と犬の記述である
ことに仰天し、今回も犬エッセイと見せてその実グルメ&サッカーなのでは
ないか?と思ったら9割がた犬話だった。


本書はけして楽しめる内容ではない。
しかし愛犬の快癒を願って人事を尽くす飼い主の姿勢は胸を打つ。
愛犬が年老いて病に倒れた時、飼い主にはどんな心構えが必要なのか、
大型犬を介護するのはどんな暮らしなのかの愛犬介護マニュアルとしても
読める本である。