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読書の記録

石田衣良「40 翼ふたたび」

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なんでもプロデュース業を立ち上げた吉松。
そこに舞い込む風変わりな依頼7件を収録。


今三十路半ばの私には、四十というのはもうすぐ迫ってくるけれど
未知の年代だ。渋いオトナが主人公かと思いきや、吉松はナイーブで
どこか少年の心のこした男である。
そんな純な吉松と共に体験する奇抜だったり困惑させられたりの仕事は
なかなかに楽しかった。


展開はいつものこの著者らしくベタである。
だが、人生に疲れている時、予想を裏切らないさわやかな物語は
しばし現実の苦痛を和らげ忘れさせてくれる。
あまりに出来過ぎでは?と思う話もあるけれど、読者の予想より
ちょっとだけ上を行く、スタイリッシュなストーリーに魅せられた。


著者のコメンテーターとしての経験が生きているのだろうか、
(第一話は例外として)相談者の悩みがそこら辺にいかにも転がっていそうな、
等身大でリアルなレベルなのもいい。


p.s.藤原伊織広告業界小説が好きな人にオススメ。
しかし、プライバシーに配慮してるとはいえブログでそこまで
エピソードを公開しちゃっていいの???