都筑道夫「都筑道夫少年小説コレクション３ 蜃気楼博士」
「蜃気楼博士」
草間昭一・次郎兄弟は心霊予告殺人の謎を解こうと奮戦する。
あくまで現実的に思考していく次郎が素晴らしい。
ミステリーを読みなれた読者であれば真相の予想はついてしまうが、
幼き日にこのような小説に出会えていたら、その衝撃いかばかりで
あったろうか。子供のうちに是非読んでおきたかった。
「百人一首のなぞ」
では『ゆうれい博士』和木さんが登場してファン感激。
「午後５時に消える」
も次郎の推理が光る。殺しなどモチーフはショッキングかもしれないが、
若い人達の論理的思考を養うのに最適だと思う。
柳柊二によるイメージぴったりの挿し絵も素晴らしい。
あとは「フォト・ミステリー」として、当時の人気芸能人が写真で
ゲスト出演する小説12篇を収録している。
これがまた、あふれるミステリーマインドもさることながら、
写真が発表当時の風俗を反映していて面白い(子役モデルさん達に味がある。
私はとくに本書160ページの愉快な写真が好きだ)。
今また、このような企画をやってくれる、
小粋なミステリー作家はおられないものだろうか…。
