北森鴻「深淵のガランス」
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花師と凄腕絵画修復師、二つの顔を持つ佐月が活躍する美術ミステリー。
表題作含む二編収録。どちらも、佐月のもとに舞い込んだ修復依頼が
どこかきな臭くなっていくのがサスペンスフル。
美術ものなので骨董専門旗師の冬狐堂シリーズかな?と思ったら
そうじゃなかった。冬狐堂が好きなんで、この作品のしみじみとした味わい、
美術にかけるプロフェッショナルの生き様などは面白かったんだけれど…
ひとつだけ不満があるとすれば、題材を‘絵画’にしたことで、
細野不二彦のマンガ「ギャラリーフェイク」2002.12
を彷彿とさせるところだろうか…。本作の主人公が男性絵画修復師なこと、
彼に片思い(?)するワケありの異国の女性がいるところなどから、
そう感じてしまうのだろうか。ネタ自体がカブっているわけではないのだが…。
愉しめるしエンタメとしてもよく出来ているのだが、
そこだけが気になるところであった。