読書日記PNU屋

読書の記録

篠田真由美「螺鈿の小箱」

 
闇にうごめく一瞬の煌めきを捕らえた、ゴシック&フリークな
怪奇幻想ミステリー短編集。
 
「人形遊び」
よくある話と油断していると、衝撃に打たれる。
殉教者たちが手に捧げ持つものには驚いた。
 
暗い日曜日
これは怪奇ホテルアンソロジー「黄昏ホテル」で既読だったが、
井上雅彦ちっくなムードが良い。
 
象牙の愛人」
老婆が語るエキゾチックな恋。悲しいほど燃え上がる恋と肉欲の
果てにあったものは…。南国の恋ということで連想する、
岩井志麻子作品ほどドロドロではない。
ねじれた愛情がおぞましくも美しい。
 
「双つ蝶」
兄の考えは妄想に近いモノだが、小説ゆえそれは悲劇の正解へと至る。
 
「ふたり遊び」
想像力たくましき姉と、おそるべきいびつな純粋さを持つ弟。
こういうのは私、好きだなぁ!一番驚いたのは、幻想的な出来事よりも、
この物語の舞台が×本だったということだな。
 
「天使遊び」
天使のいる館では、過去に何が行われていたのか…。
悲しみと諦念にいろどられたムードがオチをひきたてる。