2005、SF・ホラー・ファンタシィBEST
SF、ホラー、ファンタジーを乱暴にひとくくりにして
お気に入り順位を付けてみようというこころみ。
ベスト企画のやりすぎで私も疲れて来たし、読んでくださる方も
たいへんであろうので、ここから1作家のランクインは1作品にしてみる。
●1位 井上雅彦「燦めく闇」
堂々、1位。怪奇幻想短編集だが、妖しく美しくおぞましくて、
ホラージャンルランキングを作るならば1位はこれしかないと
思っていた。モノクロ−ムの美を感じる黒ずくめの装丁も素敵。
●2位 佐藤憲胤「サージウスの死神」
これほどまでになまなましき超常能力描写を見たのは、
ホラー・フリークの私にも久しぶりである。
これがデビュー作とはおそるべき才能。
●3位 牧野修「蠅の女」
牧野作品では、同じくホラーの「記憶の食卓」2005.9
にも痺れたが、隙の無さと容赦無さきわだつこちらを推し。
●4位 平山瑞穂「ラス・マンチャス通信」
主人公の彷徨やるせない1冊。ぎっしり詰まった“やばげ”な
怪奇にもうクラクラ!
●5位 南條竹則「魔法探偵」
ほのぼのファンタジー系かと思いきや、あなどれない妖異が
味わえて楽しい。水木しげる好きにオススメ。
●6位 朱川湊人「花まんま」
祝・直木賞受賞。「三丁目の夕日」系、懐かしホラー。
同系列の「かたみ歌」2005.8
も良かったがインパクトでこちらをランクイン。
とは言いつつ、私のベスト朱川は「都市伝説セピア」収録の「昨日公園」
だったりするのだが。
●7位 高橋克彦「鬼 弓削是雄全集」
文庫に書き下ろしを加えて出された、豪華愛蔵版。
時代物とはいえ、破格に読みやすい。なごめるシリーズは良い。
●8位 諸星大二郎「キョウコのキョウは恐怖の恐」
あの偉大なる漫画家が小説を出した!ということで、現と幻いり混じる
感覚がナイスな短編集。
漫画の形で読みたい気持ちがあることは、否定出来ない。
漫画を描くことはものすごく手間ヒマ体力を費やす作業なので、
その奇想を小説という形でも読めることがファンには
うれしい。小説よりも漫画で読みたい気持ちがないではないが、
最近体調がすぐれぬという噂の氏でもあるし、漫画を描く労力を
思うと、小説でも表現していただけるだけでもありがたいことである。
●9位 西尾維新「ニンギョウがニンギョウ」
作風をガラリと変えた作品だが、私は好きなのよね。
女の足を吸うのは感心せんが。
4位にあげた「ラス・マンチャス通信」などに近いものが
あるかもしれない。それゆえに荒木飛呂彦の漫画「JOJO」
っぽすぎる「新本格魔法少女りすか2」2005.3
をおさえてランクイン。
●10位 飛鳥部勝則「鏡陥穽」
ぐちゃぐちゃでどろどろの変態ホラー。
ここまでエスカレートするとすごいね。著者はミステリーよりも
ホラー向きなのかもしれないと思ってしまうほど。
絵の使われ方がまたよい。