読書日記PNU屋

読書の記録

山本甲士「とげ」

オンライン書店ビーケーワン:とげ2005.3小学館\1,785


市役所市民相談室担当の倉永は、市民のイチャモンと無能な
上司部下どもに日々ストレスをつのらせていた。
たまった怒りが噴出するとき、倉永がとった行動とは…。
 
嫌なことがあるとアルコールごまかしていく倉永は、同情の余地は
あるが決して好きにはなれない人物。その計算高さがラストで
明らかになるわけだが、いやぁなんともストレスフルであることよ。

山本小説では「かび」などもそうだったのだが、小心者が
図々しい周囲の人々に追いつめられてついに牙をむく様子が、
面白くもあり、またつらくもあるのだった。
 
少々都合良すぎる展開ではあるのだが、エンターテインメントであれば
このくらいは許容範囲内だろう。「かび」では苦すぎ、本作は甘すぎる
気がしないでもないけれど…。

p.s.しかし、市民相談クレーム係ってたいへんそうだ…。