読書日記PNU屋

読書の記録

横田増生「アマゾン・ドット・コムの光と影」

オンライン書店ビーケーワン:アマゾン・ドット・コムの光と影2005.4情報センター出版局\1,680


「 潜入ルポ 躍進するIT企業 階層化する労働現場」というのが副題。
アマゾンの倉庫で本のピッキングに5ヶ月携わった潜入ルポ。
アマゾンをネット書店として利用したことはあれど、ここまでアマゾンが
秘密主義であることは、本書を読むまで知らなかった。
だいたいアマゾン・ジャパンの社長すら知らない私である。
そんな、無知な一購買者である私には本書はたいへんエキサイティングで
面白かった。
 
ルポとしては、多くの残る謎など物足りない点もある。
アマゾンの宅配業務を請け負う日通の、さらに関連会社に潜り込んでいるので、
アマゾン本社自体の秘密は類推するしかないからだ。
しかし、アマゾンでは生涯守秘義務を守らなければいけないらしいので、
アマゾンに就職したらルポも書けないわけなのだが。
 
ラスト、著者の体験談から急に社会全体に言及するのは少々結論が
駆け足というか、乱暴な印象を残してしまう。ルポとしては前述した
アマゾンの秘密が解明出来ていないことと併せ、そこがやや難かもしれない。
しかし私のネット書店への無知も手伝ってか、楽しめた部分も多い。
アマゾンがまだ若い企業でありながら、創業者の理想を生かしてのびてきたこととか、
bk1の設立時のあれこれとか、1500円以上送料無料の裏側などなど。
ネット書店を頻繁に利用する身としては、アマゾンのシステムなど
サプライズの多い興味深い本であったと思う。意識の高い人ならば、
今さら読むまでもなく知っていることばかりなのかもしれないけれど…。

p.s.どちらかといえばbk1のフレンドリーなところが好きなのだが、
マーケットプレイス(中古仲介)などアマゾン独自の機能は利用させてもらってて、
これからも利用し続けると思う。