藤岡真「ギブソン」
2005.4東京創元社\1,785
早朝ゴルフのために、高城部長を迎えに行った日下部。
しかし部長は忽然と消え失せていた。
部下とともに高城部長を捜索し始める日下部だが。
ギブソンとはなにか。私はてっきりギターのことかと勘違い
していたのだが、カクテルの名前なのである。
失踪した高城部長が好んで飲んでいたというカクテル、それがギブソン。
出だし状況がややわかりにくかった(それは私の脳みそのせいかも)
ことを除けば、テンポよくすいすいと読むことが出来た。
しかし、これは苦いミステリーだ。騙し裏返される苦痛と快楽を
ミステリーと呼ぶのであれば、まさしくミステリー。
歴史にうといので全然気付かなかったが、タイトルの意味がわかるとき、
とてつもない崩壊感に襲われる。
考えられる可能性を順につぶしていくとそれしか残らないのだが、
考えたくはないという心理的マスキングがジャマして真相に
たどりつけなかった私であった。