読書日記PNU屋

読書の記録

折原一「黙の部屋」

オンライン書店ビーケーワン:黙の部屋2005.4文芸春秋\2,200


突然の雨を避けた先で、偶然に出会った絵…それは
奇妙な魅力で人をひきつける、白と黒の世界を描いていた。
作者である謎の画家・石田黙のことを調べはじめる水島だが。
 
石田黙なる、謎めいた画家の正体を追っていく過程が楽しい。
一方、監禁されて絵を描く者の謎も絡んできてサスペンスフルだ。
ただし、ラスト解かれぬ謎も残り、私の頭脳の程度問題かも
しれないが、疑問符が頭を舞う状態のままページを閉じたのであった。
 
大筋はいつも通り折原マジックかな、と思ったのだけど、
本書について語ることは難しい。なぜならどこまでが
フィクションで、どこからがノンフィクションなのか、
判然としないからだ
(やはり’70年代の「美術名典」にあたってみないとだめかしら)。

もしも本書が私の想像通りであれば本書の評価は満点に限りなく近い
★4つ、私の予想がはずれていれば★4つに近い★3つといった
ところだろうか。カラーおよび白黒の図版が多くて、
見ているだけでも楽しいミステリ本である。

p.s.絵とミステリ、図像解釈学と言えば飛鳥部勝則
オンライン書店ビーケーワン:殉教カテリナ車輪2001.7東京創元社\777

「殉教カテリナ車輪」を思い浮かべるが、本書は図像それ自体より、
画家本人にグッとせまった作りであった。