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読書の記録

友成純一「覚醒者」

覚醒者覚醒者
友成 純一

光文社 2005-04-12
asin:4334735754

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 福岡市中心部で、謎の激震が。福岡に集う浮浪者達は何者なのか探るうち、ライター・岩本は世界の秘密に触れてしまう!
 
 あの鬼才がクトゥルー神話を手がけるとのこと、文庫書き下ろしで登場な上、解説は永井豪という豪華ぶりである。
 岩本はごく普通の常識人で、読者はたぶんこの人物に感情移入して読み進めると思うのだが、この岩本の相棒で元アル中のアーティスト・三神の幻視がすごい。ここはさすがとうならされた。セロテープの悪夢などは、自分が見たら恐怖にちびってしまいそう
でもある。三神の自分探しの旅も読み応えあり。
 ただ、本書1冊ではまだ壮大なプロローグといった感があり、本筋は動いていないのがやや残念と言えば残念。強烈な三神に比べて、岩本と美智子のキャラもまだ弱いのだがそこは続編で活躍を期待したいところ。世界観のみ継いだ続編であれば、岩本達は出ないかもしれないのだけれど…さてさてどうなるのだろうか、いずれにしても続編が待ち遠しい。

p.s.ハルキホラー文庫で出た「ナイトブリード」ナイトブリードの続編もずっと待っているのだけど…そちらも出してほしいな。