尾木直樹「「よい子」が人を殺す」
副題「〜なぜ「家庭内殺人」「無差別殺人」が続発するのか」
「よい子」が人を殺す 尾木 直樹 青灯社 2008-08 asin:4862280242 Amazonで詳しく見る |
おとなしい、まじめと見られていた若者が、なぜ殺人に至るのか、事件の解説と予防策を述べるノンフィクション。
ショッキングなタイトルに惹かれて読んでみた。
私はTVや新聞をあんまし見ないんで知らなかったが、著者は元教員の教育関連コメンテイターらしい。
始めは〈空洞化〉を多用したり〈ゴツゴツとしたリアリティー〉など独特な言い回しに読みにくさを覚えたが、主張は概ね納得できるものだと感じる(つまり、新味はない)。
ただ、熟年世代にありがちなことだが、ネットを過剰に悪と見ている気がする。私個人は、ネットも社会の縮図であるからネットが原因で起きた事件もあれば、ネットのおかげで凶行を断念した事例もあると思う。なんとなく。
近年発生した十代から二十代の犯人による主要殺人事件を振り返る意味では、本書に事件年表がついていればさらにわかりやすかったのではないか。
あとがきによれば、本書は昨年刊行された著者の学研新書を加筆したものだそうな。