西澤保彦「スナッチ」
スナッチ 西澤保彦 光文社 2008-10-22 asin:4334926363 Amazonで詳しく見る |
若者だったはずの僕は、気付くと年老いていた。それは宇宙生物のせいらしいのだが、僕の周囲で連続殺人が起こり…SFちっくなミステリー。
同様の設定を用いたSF小説や映画などとの比較はプロのレビュアーがやるだろうので略すが、退屈な前半には閉口した。
この著者の小説は、納得いかなかったり気に入らない結末であっても、ラストまではぐいぐい引き込まれるのが常だったのに、ずらずら続く蘊蓄(本書は書き下ろしだそうだが、ページ稼ぎかと疑いたくなってしまった)にウンザリして投げたくなってしまったほど。
後半殺人が起きてからは多少展開がスピードアップするのでそれなりに楽しめた。
出身地である高知を舞台にした小説とのことだが、私の読み方が悪いのか、この土地を舞台にする必然性は見いだせず。
読み終えてから気付くが、なんでもないような小さなネタも伏線であり、ラストにサプライズとともにきちんと回収されていることにはベテラン推理作家の腕前を見た。ただ、やっぱ蘊蓄多過ぎとは思うけどね。