メアリ・ホフマン「聖人と悪魔 呪われた修道院」
聖人と悪魔―呪われた修道院 乾 侑美子 小学館 2008-10 asin:409290374X Amazonで詳しく見る |
若い貴族・シルヴァーノは殺人の疑いをかけられて修道院にかくまってもらうことに。隣り合う女子修道院にはわけありの美少女、そして修道院では連続殺人が…。中世を舞台としたサスペンス・ロマン。
「ストラヴァガンザ」(ラストは腰くだけだが、途中まではめちゃめちゃ面白かった!)の著者の小説なので読んでみた。ちなみに、今回は超自然現象はない。
中世イタリアの男尊女卑および階級社会で元気にたくましく生きるヒロインたちが印象的だった。それに比べ、主人公は疑いも(努力したとはいえ)自ら晴らせたわけではないし、純情だがやや軟弱に思える。
連続殺人はあっさり解決し、犯人の動機など都合よすぎるようにも思えるが、児童向けということを考えるとこのくらいがちょうどよいか…大人からすると物足りない点はあるが、主要テーマは連続殺人より男女の恋と宗教画(殺人事件はメインに見えて、その実登場人物を出会わせ関係づけるける役割しか果たしていない)なのだから、まあよいのだろう。連続殺人が出て来るが、ラストは爽やかですらあり、お子様に与えても安心な本と思われる。