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読書の記録

黒武洋「ファイナル・ゲーム」

ファイナル・ゲームファイナル・ゲーム
黒武 洋

角川グループパブリッシング 2008-09-26
asin:404873881X

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 大学時代、『シゼンクラブ』と称して違法すれすれの遊びをしていた男子たち。卒後、部長により再び彼らは集められ孤島へ渡るが、そこに待っていたのは命がけのゲームだった。
 いきなり主人公たちが無茶なシチュエーションにおかれて命の危険にさらされ、あがくというベタの王道を行くサスペンスである。山田悠介が得意とするパターンだが、もちろん本書はあちらよりも文章が巧く、シチュエーション一辺倒ならずそれなりの趣向も凝らしてある。とはいえ真相やトリックにサプライズ重視ゆえの無理(たとえば、主人公がよほどのボンクラでもなきゃ成立しないだろう!!)も多く、また推理の余地がないと言うか論理的な帰結などは望むべくもない。漫画「ライアーゲームLIAR GAME (1) (ヤングジャンプ・コミックス)ばりの腹の探り合いを期待すると物足りないが、主人公の成長物語も兼ねていて、意外にラストはさわやかですらあるのだった。