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読書の記録

北森鴻「虚栄の肖像」

虚栄の肖像虚栄の肖像
北森 鴻

文芸春秋 2008-09
asin:4163273204

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 花師にして絵画修復師・佐月の活躍する三編を収録する美術ミステリー。冬狐堂も出てくるよ。
 うーん、なんだかシリーズ一冊目「深淵のガランス深淵のガランスの方がスカッと面白かった印象があるなあ。
 本書はそういう回っちゃそれまでなんだけど、どうにも過去の因縁とか陰謀とかが多くてスッキリしないのだ。主人公の佐月が感傷にとらわれすぎに思えたり、某大人が暗躍しすぎてたりするところが、私好みじゃなかったってことで。元恋人の心理も、さっぱり理解できなああああああい。なんだかね。自分に自信のある女性なんだね、たぶん。

 そして、フィクションにそれを言っちゃおしめえよ…とはわかっているのだけど、似たジャンルのノンフィクション、中島誠之助「ニセモノ師たち」ニセモノ師たち (講談社文庫)がめちゃくちゃ面白かったんで、ネタのかぶってる本書が霞んでしまったわけなの、ゴメンね。
 とはいえ、文章は読みやすいし、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」とか細野不二彦の漫画「ギャラリーフェイクギャラリーフェイク (1) (ビッグコミックス)的なジャンルが好きならどうぞ。

p.s.amazonとか読書メーターのレビュー見てると、「前作よりイイ!」ってコメントが散見される。ウ…ヌ、ヒロインにも主人公にも、全然共感できないんですけど。だって互いに自己マンでしょ。すれ違う美しき愛情かもしれんけど、日本には『死んで花実が咲くものか』って言葉もあるでしょ。あーもういいよ、私の方が少数派で!!