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読書の記録

荻上チキ「ネットいじめ」

ネットいじめ (PHP新書 537)ネットいじめ
荻上 チキ

PHP研究所 2008-07-16
asin:4569701140

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副題「ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」」。
 ネットを使う学生の実像を紹介し、インターネットと若者のありうべき関係を模索するノンフィクション。
 著者は’80年代生まれでネットに詳しいお人らしい。本書のスタンスは公正を心がけながら、その実は今までのマスコミネットネガティブキャンペーンへの反論が多くを占め、結果としてネットよりの書という印象を受けた。
 〔学校裏サイト〕と言うとネガティブなイメージが強いので、ニュートラルに〔学校勝手サイト〕と呼ぶべき、なる主張には一理ある。しかし、裏サイトという呼び名が広く浸透した現在、その主張が受容されるのは困難と見た。
 私は予備知識の全くない状態で下田博次「学校裏サイト」を先に読んだが、本書は前掲書の思想の偏り(裏サイト=犯罪の素という決めつけ)およびデータ解釈の誤りを強調している。下田本が過度にネガティブなのは事実として、スタンスの違いを考えさせられる。ネットに不慣れなおぢさんから見たら子供のネットはよくわかんない危なっかしいモノに思えるし、ネットを使いこなしている若者からしたら、そんな決めつけは噴飯モノだということなのではなかろうか。両書を読んでおくことで下田本のネガティブ解釈と、荻上本の反論が頭の中でほどよくミックスされるんじゃないか。
 ただ、私にはいわゆる非公式勝手サイトを作ってまで学校生活を語りたがるイマドキの若者のことはさっぱりわからない。あんたらそんなに学校やクラスメイトが好きなのかと。平日昼間の大半を学校に拘束されるのだから、私はウチにいる時くらい学校のことなど忘れたいと思うが。中学や高校なんてせいぜい3年しか所属しないのだし、オフに加えてサイトでまで学校の人と私は交流したくはないな。そんな考えの自分は現在小学時代のクラスメイトとの交流ゼロ、中学時代の元クラスメイトとの交流ゼロ、高校時代の元クラスメイトとの交流1(現・配偶者)、大学時代のクラスメイトとの交流ゼロだがけっこう幸せだぜ。