読書日記PNU屋

読書の記録

真藤順丈「地図男」

地図男 (ダ・ヴィンチブックス)地図男
真藤順丈

メディアファクトリー 2008-09-03
asin:4840124167

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 いつも地図帳に物語を書き込んでいる浮浪者のような男。その地図男に魅せられてしまった男の物語。
 私はもう体力なくなってきたんで新人賞受賞作はあんまり読まないようにしてたんだが、本書はタイトルが気になったこととなんかホラーかミステリーっぽい(ほら、「ハサミ男」とか「脳男」みたいだから)気がして手に取った。読んで、私が想像していたような本ではないと気付いたが、薄い本だし最後まで読んでみた。
 感想はつまらなくはない、面白くないこともない…だが、むせかえるほど文体も世界も古川日出男風なのだった。もはや、利き酒ならぬ利き読して著者名を隠して本書を読まされたら、古川日出男の小説でしょ、いつ新作出たの?と間違いそうなくらいそっくりだ。マンガで言うならワンピースとマガジンワンピースくらい見た目が似ているみたいな。
 著者が古川作品を未読だったら偶然の一致だろうが、私の本書を読んだ印象はフルカワヒデオチルドレン、というかまんまコピーなのだった。文章のリズムまで似ているからある意味スゴい。
 でもまあ、本家古川作品が最近不条理かつ後味は悪く長く退屈かつ難解になっている(↑あくまで私の印象だが)のに対し、本書はフレッシュなぶんシンプルに感動的なわかりやすい作りだから、本書の方が一般受けするかもなぁ、とも思う。いずれにせよ、著者が単なるフルカワ劣化コピーとなるか、それともフルカワチルドレンとしてさらに花開くかは次回作以降ってことで…って、私的には次読むかどうかは微妙なんですケド…。
p.s.二十三区大会は、大暮維人「エアギア」みたいねー。
1ページ目から、コレって古川日出男パスティーシュ文体模写実験?と思ったんだがamazonなんかのレビューでは指摘されてなくて驚き。同指摘多数だと思ったのに。舞城王太郎とか町田康よりズバリ古川日出男だろ!!
あっ、最近参加した「読書メーター」では指摘されてる方が一人おられましたな。
hatenaでは、こちらでも指摘。
http://d.hatena.ne.jp/dke/20080909