読書日記PNU屋

読書の記録

町田康「宿屋めぐり」

宿屋めぐり宿屋めぐり
町田 康

講談社 2008-08-07
asin:4062148617

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 主の命を帯びて太刀を奉納しに行くはずが、成り行きで殺生してしまい、謎のくにゅくにゅに包まれ異世界に放り出された男の放浪記。
 「パンク侍、斬られて候パンク侍、斬られて候 (角川文庫)のようなキッチュで不条理な世界が展開するので、最初の100ページくらいまでは…どうしようかな、分厚いし…読むのやっぱやめようかと心ゆれたが、災難に遭い続ける主人公に引きずられて読み進めた。受難と迫害、奇跡と「主」への服従、なんだか、いわゆるバイブルを読んでいるような気持ちになった。めちゃくちゃながら妙なリアリティを持つ世界が展開してこの分厚いボリュームでも飽きさせないのはすごい。
 だが、ネタバレを恐れながら書くとこれだけのページを費やしながら、ラストがB教+C教ちっくにオチてしまったことが残念。このオチのための長さだったと言えるかもしれないけど。