門前典之「浮遊封館」
浮遊封館 門前典之 原書房 2008-07-23 asin:4562041714 Amazonで詳しく見る |
全国で散発する、死体消失事件。この件に差す新興宗教の影。名探偵・蜘蛛手とその助手・宮村がが謎に挑むミステリー。
ああ、2001年に鮎川賞受賞作「建築屍材」でその猟奇ぶりに痺れた私は、2002新作刊行予定との告知に胸踊らせていた。しかし本は出ることがなく、2008の今やっと待望の発売となったのである。感慨ひとしおである。
ミステリーとして筋立てがシンプルに過ぎて、すごいトリックがあるではなし、実はTITLEで既にストーリーの予測が濃厚についてしまって損してるしで文句がないではないが、前作をも超える猟奇ぶりは健在でニンマリしてしまう。
挿話ひとつひとつのヒキの巧さや探偵の名探偵ぶり(ホームズのごとくユニークかつ不遜な変人キャラ)が素敵で嬉しくなった。次回作もぜひこのまま突き進んでいただいて、島田荘司+霞流一みたいなキッチュでドラマチックな作風を維持していただきたい。
p.s.七年待たせてこれかよぉぉぉぉぉぉ!!!!と思わんでもないが、もっともっと書いていただかないと、判断自体がつかないさ。とりあえず蜘蛛手センセの再登場を熱望。