道尾秀介「カラスの親指」
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb 道尾 秀介 講談社 2008-07-23 asin:4062148056 Amazonで詳しく見る |
闇金に人生をメチャメチャにされ詐欺師になった中年男のもとにもう一人、闇金に恨みを持つ男がころがりこんで、おまけに美女まで?!騙し騙されのサスペンス。
こういう作品も書くのか、書けるのかというのが一読しての感想だった。なんてアットホームな雰囲気だろう、伊坂幸太郎か、小路幸也の小説のようでもある。
やや内容に触れると…読んでいて不自然さ、甘さが鼻についてしまうのだが、それも全て物語がサプライズに奉仕するための犠牲であって、サスペンス小説としてはアリなんだろう(私は好みではないが)。仕立てのよく似たジェフリー・ディーヴァー「魔術師」が好きな読者ならば、気に入るのではないか。
p.s.「ラットマン」でもそうだったのだが、一件何のことかわからないようなタイトルでいて、読後ふっとこれしかなかったと腑に落ちるのが絶妙。