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読書の記録

土師守「淳」

淳 (新潮文庫)淳 (新潮文庫)
土師 守

新潮社 2002-05
asin:410133031X

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 神戸市連続児童殺傷事件。被害者になってしまった淳くんの父が綴ったノンフィクションである。
 事件の経緯とマスコミの過剰で思いやりのない取材・報道を知って胸が痛む。
 今までもゴシップ誌は買ったり読んだりしないようにしてきたし、新聞もとっていないが今後もそうし続けようと思った。うちは家族がワイドショー嫌いなので事件報道もほとんど見ていないので、本書で初めて知ることも多かった。第一報が警察からではなかったことも大きな驚きであった。
 そして、本書にはたいへん傍若無人にして思いやり皆無で、自分のことしか考えていないひどい人間がイニシャルでひとり出てくるのだが、その人物こそが………。
 被害者の権利を保護するという、正しいのに守られないことを世に問うため執筆された本なので、有権者のひとりとして少年法など現実に即していない現行法の改正に関心を持ち続けていきたい。
 しかし、被害者宅への嫌がらせの数々はひどすぎる、やったやつは人間じゃないな。